2016.01.25
ある大手エステサロンの調査によれば、むだ毛の自己処理で失敗した経験を持つ人は全体の80%を超えていました。脱毛が女性の間で人気な理由も、自宅でのお手入れに限界を感じた人が多いからかもしれませんね。今回は、意外に多いセルフケアで起こりがちな肌トラブルについてご説明していきます。
よくニキビと勘違いされがちなのが、赤く腫れ上がる毛のう炎です。ブドウ球菌などの細菌が毛包(もうほう)とよばれる毛穴の中に入り込んでしまうことが原因です。カミソリを定期的に取り替えずに長く使っている場合や毛抜きで強く毛を引っ張ることによって起こることが多いです。軽い場合は自然に治りますが、免疫力が低下していたりすると悪化することがあります。膿が溜まっていたら、すぐに皮膚科等を受診するようにしてください。
毛のう炎を防ぐには、細菌を毛穴に入り込ませないことが大切です。剃りたい部分をボディソープで清潔にしてから、カミソリを当てるとよいでしょう。浴室は湿気が多く、細菌が繁殖しやすい環境です。使い終わった後は皮脂汚れなどをしっかりと落として、できるだけ乾いた環境で保管するようにしてください。また、肌が湿った状態でも細菌が毛穴に侵入しやすくなるので、脱毛後はきちんとタオルドライすることを心がけることも効果的です。
小さい赤いポツポツしたものができることが多く、ひどくなるとかゆみを伴うこともあります。毛のう炎と似たような症状ですが、マラセチア菌という常在菌が増殖したことが原因だといわれています。背中、肩、二の腕、胸といった部位に出ることが多いので、「身体ニキビ」とよばれることもあります。マラセチア菌はカビの一種なので、治すためには抗真菌剤を皮膚科等で処方してもらうことが大切です。一方、毛のう炎は細菌が原因なので、抗生物質が治療に使われることも多いです。見た目が似ているからといって、毛のう炎の薬を使わないように注意してください。
マラセチア毛包炎の原因も、間違った自己処理によるもの。マラセチア菌は皮脂をエサにして増殖するので、カミソリや電気シェーパーによる皮膚の乾燥によって過剰に皮脂が分泌されることが原因となっていることがあります。例えば「自己処理した後、うっかり保湿を忘れてしまった」「面倒くさいので、シェービングクリームを使わずに直接カミソリで剃った」というお手入れで引き起こされることも少なくありません。皮脂や汗で再発を繰り返す場合もあるので、たかがニキビとあなどらずに早めに医療機関に足を運ぶようにしましょう。
繰り返す毛のう炎やマラセチア毛包炎を放置した場合、毛穴にぽつぽつと黒ずみが残ってしまうこともあります。これを「炎症後色素沈着」とよび、皮膚が炎症を起こすことで身体の大部分に発生する可能性が高いです。炎症後色素沈着は、皮膚の炎症によって活性酸素が発生したことが原因です。メラニン色素が濃い日本人は、欧米人に比べて炎症後色素沈着を引き起こしやすい傾向があります。
炎症後色素沈着のやっかいなところは、なかなか改善しない点です。ピーリングで古い角質をのぞいたり、活性酸素を除去するビタミンCの含まれたコスメを有効活用したりして地道に改善を目指していくのがよいでしょう。医療機関でケミカルピーリングやレーザー治療を受ける方法もあります。炎症後色素沈着は作らないように予防するのが一番です。早めに肌に負担をかける自己処理から卒業するのも、毛穴のトラブルを防ぐ方法だといえるでしょう。乾燥した状態でのお手入れは炎症を悪化させるので、脱毛後の保湿を重視することも大切です。
この投稿のタグ:トラブル, ニキビ, お手入れ, 美肌, 色素沈着